脱原発

抗 議 声 明

 11月4日午前730分から志賀原発の事故を想定した石川県原子力防災訓練が実施された。東京電力福島第一原発事故後8回目となる防災訓練である。この間、私たちは再稼働前提の訓練に抗議すると同時に、福島第一原発事故の教訓を踏まえるなら最善の原子力防災は原発廃炉であると訴えてきた。地震だけでなく昨今の異常気象による複合災害、あるいは無防備と言えるテロ攻撃を想定するならば、廃炉はなおさら緊急の課題である。しかし、石川県はじめ関係自治体は今回も志賀原発の再稼働を前提とした非現実的で実効性のない訓練を実施した。強く抗議し、以下、問題点を指摘する。

 

■複合災害で破たんする原子力防災

(1)異常気象に向き合わないマンネリ化した訓練

近年、巨大台風襲来による暴風と豪雨、大洪水、高潮、大規模停電、さらに豪雪による交通網の麻痺や災害級の猛暑など「異常気象」が常態化し、相次ぐ巨大地震、大津波の脅威も含め、現代社会は巨大自然災害の危機に直面している。これらの災害に起因する原発の重大事故、あるいはこれらの災害と並行して起こる重大事故に対して原子力防災は機能するのか。原発立地地域の住民はもちろんのこと、多くの県民の不安は一段と高まっているが、複合災害訓練はここ数年の訓練同様、「地震による道路の一部寸断」を想定するのみで、広域・複合・長期化する巨大自然災害に向き合う姿勢は全く感じられない。

(2)複合災害で被ばくは深刻化

政府は2015年に防災基本計画を修正し、複合災害時には自然災害に対応する「緊急災害対策本部」と原子力災害に対応する「原子力災害対策本部」の連携体制を整えることとし、複合災害への対応について検討を重ねている。基本的には差し迫った自然災害からの人命のリスク回避が最優先となる。当然の対応だが、結果として放射能からの避難行動は二の次となる。現行の計画でも住民に被ばくを強要するが、さらなる被ばくは避けられない。巨大自然災害と原発の重大事故による複合災害時、住民避難計画は破たんする。

(3)廃炉こそ複合災害対策

地震や津波は防げない。異常気象は国際的な気候変動対策が急務だが、直面する自然災害には防災・減災対策を講じるしか術がない。一方、原子力災害は人災である。大自然の猛威にさらされ続ける中、人命へリスクを減らすためにも志賀原発の廃炉は急務である。

■くり返される再稼働前提の訓練

■再稼働路線容認の防災訓練

志賀原発直下の断層について有識者会合は全会一致で「活動層」との評価書をまとめたが、北陸電力は志賀再稼働の方針を変えず、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に臨んでいる。しかし、ここでも北陸電力のデータ不足が厳しく指摘され、「活断層」を否定する見通しは全く立っていない。こうした中、県は停止中のリスクが山積するにもかかわらず再稼働前提の訓練を繰り返している。北電の再稼働路線の容認、あるいは期待しているかのような県の姿勢からは、県民の安全・安心を守る決意が感じられない。

■向き合うべきは停止中の原発の危険性

停止中とはいえ、志賀原発ではむき出しの燃料プールの中に使用済核燃料が保管されている。冷却機能の維持は至上命題であり、そのための電源は欠かせない。ところが志賀原発では直下の活断層に加えて、一昨年は雨水大量流入事故、今年7月には非常用の高圧電源車の火災事故発生と、電源確保をおびやかす「あってはならない事故」が相次いでいる。特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)もいまだ整備されていない。サウジアラビアの石油施設へのドローン兵器による攻撃は全ての原発施設にとって他人事ではない。複雑な国際情勢下、志賀原発への攻撃を単なる空想として切り捨てることはできない。核燃料の撤去こそ必要な防災対策であり、撤去までの間は停止中の原発の重大事故を想定した訓練を実施すべきである。

■実効性のない訓練の繰り返し

■新たな安全神話をつくる「スムーズな避難」

今回の避難訓練も住民の参加はごく一部である。避難指示の伝達漏れはなく、避難指示の前に避難所で待機する人もいる。避難バスも事前に配車され、自家用の避難車両も少なく、スクリーニングポイントでの渋滞も起こらない。課題として残るヨウ素剤の配布は今回も実施されなかった。こうした中で毎回確実に実現する「スムーズな避難」は、重大事故でも避難できるという新たな安全神話をつくることになる。

■課題から逃げまくる非現実的訓練

住民へのヨウ素剤の配布、服用指示は重要な課題であるが、いまだ必要な住民への配布が可能かどうか検証はできていない。観光客など一時滞在者、特に近年増加する外国人旅行者への情報の伝達、避難、ヨウ素剤の配布等も懸念される。UPZ圏内の住民避難は、訓練ではあらかじめ風下エリアが決められているが、実際は緊急時モニタリングと連動した迅速、的確な行動が
求められる。いまだ実践的な訓練は行われていない。
防災業務従事者の被ばく対策や交代要員の確保も重要な課題である。加えて半島先端地域固有の
課題もある。この間の訓練同様、今回も取り組みやすい項目をつまみ食いするだけの訓練に
終始したと言わざるを得ない。

■繰り返して指摘する!「今こそ常識に立ち返れ」

一企業の、電気を生み出す一手段に過ぎない志賀原発のために多くの県民の命や暮らしが脅かされ、財産を奪われ、ふるさとを追われる危険に晒され続けている。このような異常な事態を放置し、さらには覆い隠すかのように防災訓練が繰り返されている。避難させるべきは住民ではなく核燃料である。北陸電力は人災である原子力災害を防止するため、直ちに志賀原発の廃炉を決定せよ。活断層上にある核燃料を速やかに撤去せよ。

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

社会民主党石川県連合

石川県平和運動センター

 

 

 

image202013年11月16日、石川県と県内13市町は原子力防災訓練を実施した。これに対し、社民党石川県連合、社民党自治体議員団、石川県平和運動センター、そして原子力防災に関心をよせる多くの市民らが協力し、総勢約70人で調査行動をおこない、合わせて避難対象地区の住民を対象に原子力防災や志賀原発についてアンケート調査を実施した。

詳しく読む【PDF:392KB】

6日北陸電力は活断層との疑いの濃い原子炉直下のS-1断層の調査結果を発表、原子力規制委員会に報告した。
この調査は当初の予定では1月、あるいは3月に調査を終了し結果を報告する日程だった。これが延びているのは、活断層であることを明確に否定する証拠がないこと、さすがに原子炉の真下にトンネルを掘りたくないこと、再稼働に動きつつある政治情勢と世論の動向を見ている、などと推測されている。
いずれにしても、活断層ではないという結論をまず決め、そこに誘導する「科学的」調査と理屈をつくりあげようとしている。これは、原発を建てる場所を決め、その場所には活断層は存在しないことにするという、建設推進時代のやり方の延長であって、福島第一の事故を教訓して、安全の側に立って真摯に調査検証するという姿勢は微塵も感じられない。敦賀原発の日本原電の対応と同様である。

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盛本blog『結論からのスタート/活断層否定北電報告』

IMG_0119s3月4日、金沢地方裁判所で「志賀原発を廃炉に!訴訟」の第3回口頭弁論が行われた。
福島から避難している浅田真理子さんと宮田秀晴さん、二人の原告から意見陳述が行われ、福島第一原発の事故が、人間らしい普通の生活を一瞬にして奪ってきた現実と、それに対する悲しみと怒りが訴えられた。浅田さんの訴えに合わせ、法廷内に映し出された自宅周辺の写真の美しさは、心打つものだった。
続いて東弁護士から、志賀原発運転の必要がないこと、放射性廃棄物の処分の見通しがないこと、また、川本弁護士からは、震源が特定されない地震の規模の想定を既往最大M7.3にすべきだとの陳述が行われた。
被告北陸電力は、活断層調査についても、この裁判についても引き延ばしを図っているようだ。政権の動きが再稼働へと傾いて行く中、情勢の変化を見ているようである。
裁判とともに、市民運動、議会、それぞれの取り組みの強化が必要だ。

 

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盛本blog『フクシマからの避難者訴える/志賀原発を廃炉に!訴訟 第3回口頭弁論』

10月9日,社民党国会議員調査団総勢19人(国会議員は,福島党首,阿部,服部衆院議員,又市参院議員の4名,渡辺満久東洋大教授,富山県議,石川県議,市町議ほか)は,志賀原発の視察を行った.

shika原子炉直下のs−1断層の調査状況の説明と質疑応答,現地調査,そして,県庁へ移動しての,県知事要請,記者会見の一連の調査・要請行動である.

この調査は,当初,北陸電力が,「原子力発電に理解のない方の視察はお断りする」と,独占企業の傲慢さを自ら示すような対応をし,その後一転,国の指導もあって,社民党への謝罪とともに受け入れを認めたという,いわくつきの視察である. 実に差別的で,問題のある対応だった言わざるをえないが,調査団の視察が実現し,変動地形学の専門家 渡辺満久 氏とともに現地調査ができ,意義深いものとなった.

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盛本よしひさ blog   北野 進 S-1再調査の狙いがみえてきた

8月31日,志賀原発直下に活断層!渡辺満久講演会が開催された.もうこの新聞でわかるように,事実のねじ曲げと隠蔽は,はなはだしい.

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盛本blog『再調査必要なし/渡辺満久さん講演会』

あなたの力で、みんなの力で志賀原発の再稼働を止めましょう!!

2011.3.11東京電力福島第一原発事故はチェルノブイリと同じレベル7という最悪の事態を引き起こしました。今なお収束のメドもたたず、空間に、地下に、海中に放射能をまきちらし、多くの人々が内外被曝の状態に置かれ続けています。原発の「安全神話」は完全に崩壊しました。原子力は一度暴走すると人間の手では全く制御できないことが大きな悲劇とともに証明されました。石川県の志賀原発も1999年に臨界事故を起こしています。しかも北陸電力はそのことを8年間も隠し続けていたのです。フクシマの悲劇を二度と起こしてはなりません。石川の子どもたち、そして富山の子どもたちのために、今止まっている志賀原発をそのまま廃炉にしましょう!そのために私たちは2012年6月26日、北陸電力を相手に提訴しました。ぜひあなたの手で私たち原告団を支えてください。 
(志賀原発を廃炉に!訴訟 原告団ホームページより)

 

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